吉村昭の歴史小説の舞台を歩く

小説家 吉村昭さんの読書ファンの一人です。吉村昭さんの歴史記録文学の世界をご紹介します。   

2018-01-01から1年間の記事一覧

「長英逃亡」を歩く

吉村昭「長英逃亡」を歩く 吉村昭の小説「長英逃亡」は、昭和58年3月から1年5ヶ月にわたって毎日新聞に連載された長編歴史小説である。 小説「長英逃亡」は、「逃亡」「医学」「蘭学者」「幕末」「史実」といった吉村昭がライフワークとしてきた題材をぎゅっ…

吉村昭「落日の宴」のゆかりの地を巡る

吉村昭の「落日の宴」は、幕末に欧米列強が押し寄せる中で、勘定奉行の川路聖謨の誠実な折衝により日本が植民地化を免れた史実を地道で細やかな取材により書かれた歴史小説です。 江戸幕府に交易と北辺の国境画定を迫るロシア使節のプチャーチンに一歩も譲ら…

吉村昭『彰義隊』から上野戦争の爪痕を巡る

吉村昭の最後の歴史小説『彰義隊』 『彰義隊』は、吉村昭が書いた最後の歴史小説です。 吉村昭は、生まれ故郷である日暮里や上野界隈を舞台とした上野戦争を小説にすることを望んでいたものの、躊躇していたと創作ノートで触れています。 それは、一日で朝廷…

吉村昭「桜田門外ノ変」ゆかりの地を歩く

「安政七年(1860)三月三日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた一発の銃声と激しい斬りあいが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安政の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊大老を暗殺したこの事件を機に、水戸藩におこって幕政改革をめざした…

吉村昭「闇を裂く道」の現場を巡る

先週末に読み終えた吉村昭さんの「闇を裂く道」が頭から離れず、渋滞を覚悟で、小説の舞台となった丹那トンネルと丹那盆地を巡ることにしました。 この小説は、東海道の熱海と三島の間を貫く丹那トンネルを開通させるまでの自然と人間の闘いをテーマにしたも…

吉村昭 史伝「暁の旅人」から見た松本良順の生涯

吉村昭 史伝「暁の旅人」は、松本良順の生涯を描く事を通して、幕末から明治維新に進む過程で起こった史実を描いています。 私は、若い頃、神奈川県平塚市に住んでいました。その頃、自転車でよく大磯の浜辺「照ケ崎海水浴場」に行っては、釣りを楽しんでい…

吉村昭 小説「生麦事件」から事件現場を追う

「江戸高輪にある薩摩藩下屋敷の生い茂った樹木から、蝉の声がしきりであった。」 の書き出しから始まる吉村昭の小説『生麦事件』。その事件は、文久2(1862)年9月14日、横浜郊外の生麦村で起こりました。薩摩藩、島津久光の大名行列に騎馬のイギリス人4人…

荒川区にある「吉村昭記念文学館」を訪ねました。

吉村昭生誕から90周年の節目に当たる2017年4月1日、吉村昭が生まれた荒川区に「吉村昭記念文学館」がオープンしました。 「吉村昭記念文学館」は「中央図書館」「ゆいの森子どもひろば」と一緒に「ゆいの森あらかわ」という建物に誕生しました。 4月1日の開…