吉村昭の歴史小説の舞台を歩く

小説家 吉村昭さんの読書ファンの一人です。吉村昭さんの歴史記録文学の世界をご紹介します。   

2021-01-01から1年間の記事一覧

吉村昭「白い遠景」-『私の生まれた家』から

「白い遠景」には吉村昭の作家の原点を浮き彫りにした初期の随筆がまとめられています。 その「白い遠景」の中に『私の生まれた家』というタイトルの随筆があります。 吉村昭の生家は東京の日暮里町(日暮里図書館の近く)にありましたが、空襲が激しくなった…

吉村昭「天狗争乱」の舞台を歩く(水戸編)

「尊皇攘夷」に命をかけた志士たち 元治元年(1864)4月13日朝、下野国都賀軍栃木の家並みは霧雨でかすんでいた。肌寒い朝であった。 町の中には、日光例幣使道と呼ばれる幅広い街道が南北に通じていて、中央に清らかな水が流れる用水堀がのびている。 道の両…

吉村昭「天狗争乱」の舞台を歩く(敦賀編)

明治を待てなかった志士たち NHKの大河ドラマ「青天を衝け」で「天狗党」が登場したこともあって、天狗党が散った敦賀では天狗党ゆかりの地に再びスポットが当てられています。 天狗党 福井パンフレット 「尊皇攘夷」を掲げて決起した水戸藩の改革派「天狗党…

吉村昭「日本医家伝」の舞台を歩く

「日本医家伝」は、医学関係の季刊雑誌「クレアタ」に3年間連載されたものをまとめた短編集で、いずれも江戸時代中期から明治初期にかけて活躍した12人の医家の生涯が綴られています。 取り上げられている医家は、吉村昭の長編小説にも主人公として登場して…

吉村昭「冬の鷹」の舞台を歩く

わずかな手掛かりをもとに、ほとんど独力で訳出した「解体新書」だが、訳者前野良沢の名は記されなかった。 出版に尽力した実務肌の相棒杉田玄白が世間の名声を博するのとは対照的に、彼は終始地道な訳業に専心、孤高の晩年を貫いて巷に窮死する。 我が国近…

島抜け-「梅の刺青」の舞台を歩く

吉村昭の歴史小説「島抜け」(新潮文庫)には、「島抜け」、「欠けた椀」、「梅の刺青」の三篇が収録されています。 今回は、その中の「梅の刺青」を取り上げ、その舞台を歩きます。 「梅の刺青」は、明治2年に日本最初の献体をした元遊女をはじめ初期解剖の歴…

万年筆の旅

「万年筆の旅」は、吉村昭記念文学館の広報誌の名称で、吉村昭の夫人で作家の津村節子氏による題字です。この広報誌「万年筆の旅」は吉村昭記念文学館の準備室が開設された2013年3月から発行されていて、最新刊は第15号となっています。 2006年1月、荒川区か…